PERSON #71
特定非営利活動法人ぴあいんく
杉本 久瑠美 さん
KURUMI SUGIMOTO
東北福祉大学卒業 2020年入社
2023年度取材
「自分が何を好きなのか」はわかっておいたほうがいい
高校生のときには東北福祉大学への進学を決めていたという杉本さん。障がいを持つ弟さんと生活を共にしていたことから、障がい者福祉の道へ進むことを決めたといいます。現在、閑静な住宅街の障がい者施設で働く杉本さんにお仕事について伺いました。
この業界を選んだ理由は?
もともとは保育の分野に興味があったのですが、私の弟が障がいを持っていて、年齢を重ねるごとに福祉の幅が広がっていくのを見て、障がい者福祉に携わろうと思いました。高校生のときから福祉大に行こうとは決めていて、大学では社会福祉士の勉強をしていました。高齢者、障がい者、相談支援などについて学び、障がい者施設に絞って就職活動をしました。
現在、どんなお仕事をされていますか?
送迎や活動の日中支援、排せつや入浴の介助をしています。また、ケース記録(※)をつけるのも大切な仕事です。
※支援記録のこと。利用者の具体的な訴えや変化、援助の進捗状況などを記録する。
仕事のやりがいはどんなところに感じますか?
利用者さんが笑顔だったりうれしそうな顔だったりしてくれるとあったかい気持ちになります。やはり、利用者のみなさんにも波があるので、安定していてくれると私もうれしいです。
仕事で大変だと思うことはどんなことですか?
やはり男性の利用者さんの場合、私との体格差などもあるので「体力が必要だなぁ」と常に感じています。腰は確実に痛いですね(笑)。
今後の目標を教えてください
長くこの福祉の仕事をしたいと思っているので、体力と精神共に強くありたいと思うんですね。特に体力面は鍛えていけたらと思っています。また、資格ももちろんですが、さまざまな知識をつけるために勉強していきたいです。
学生時代の経験が役立ったことはありますか?
福祉大の学生は、3年生のときに数日、4年生のときに1カ月ほど実習に出ます。4年生の実習では、高齢、児童、障がいの中から実習内容を選んで、施設側の許可をいただいて行かせていただくのですが、この1カ月の実習は大変ではあったんですけれど役に立ったなと感じています。
就活生にメッセージを
福祉の仕事を目指す方はやはりボランティアとかやっておくといいと思います。また、福祉は人と向き合う仕事。私はやっぱり人とかかわるのが好きだから、この仕事を選んだというのがあります。だから、「自分が何を好きなのか」はわかっておいた方がいいと思います。あとは、体力ですね(笑)。年々落ちていくのを感じるので、普段から鍛えることも必要かな、と思います。
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7:50
起床
朝は比較的ゆっくり。紅茶など温かい飲み物を飲むのがモーニングルーティンです。
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8:40
出勤
車で通勤します。
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9:30
出社
グループホームにまず立ち寄って引き継ぎを行ってから「ぴあにか」に出勤します。利用者さんも到着しているころなので、バイタルをチェックした後で、創作活動などのお手伝いをします。
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12:00
昼食
家からもってきたお弁当か、コンビニで購入したものを食べています。
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13:00
午後の仕事開始
引き続き活動支援を行います。ケース記録を記入して、16:30から入浴介助などに入ります。
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18:30
退勤
買い物をしてから家に帰ります。
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19:30
帰宅
夕食を食べた後はアニメを見たり、YouTubeを見たりしています。最近は「ONE PIECE」にハマっていました。
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00:00
就寝
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休みの日の過ごし方
休みの日はアニメを見たりすることもあります。出かけるときは、映画に行ったり、趣味で続けているバレーボールの活動に参加することもあります。
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わが社の自慢ポイント
先輩方がとても助けてくれることと、資格取得を奨励してくれることです。本当は飲み会とかも開催できればいいんですけれど、残念ながら私の入社が2020年の4月で、コロナの影響でそういうものがなかったので…。
楽しみながら社会と繋がる
理事長 安澤 佐知子 さん
仙台市青葉区の静かな住宅街に拠点を構える特定非営利活動法人ぴあいんくは、知的障がいのある方の地域生活を支援しています。2018年11月に生活介護事業「ぴあにか」を開設、続いて居宅介護事業、同行援護事業、移動支援事業を担う「ぴあいんく」、そして共同生活援助事業「とおん」を開設しました。安澤代表は、「私の兄が知的障がいを持っていて、兄が来ることができるように始めました」と、そのきっかけを教えてくれました。
知的障がいがある方のための通所施設である「ぴあにか」では、基本補運営方針として「楽しみながら社会と繋がる」をテーマに、社会参加に繋がるような活動を行っています。安澤さんは「利用者さんが何をしたいかを中心に考え、創作活動や音楽活動、自主生産活動などを通して社会参加することを目標としています。例えば創作活動では絵画や書道をやっているんですね。絵画では、色鉛筆や絵の具などさまざまな画材を用いて、1年かけていろいろつくるんです。年に1回コンテストに応募していまして、2023年には、うちの利用者さんが賞を取ったんですよ」と話します。
今後、障がい者施設だけでなく高齢者向け施設など、さまざまな福祉の分野で人材が必要となっていく中、福祉業界を目指す学生にはどのような資質を求めているのでしょうか。「福祉の仕事はどうしても1人ではできなくて、他の職員と一緒にやらなくてはいけないので、チームワークが得意だという方はとてもありがたいです。また、実際に足を運ぶことで自分がどういうところで働きたいかというイメージができると思いますので、施設を見学したりボランティアすることもいいのではないかと思います」と、安澤さん。
福祉の世界へ進みたいと考えている学生のみなさんは、ぜひこの閑静な住宅街にたたずむ施設を訪ねてみてはいかがでしょうか。
- 所在地
- 宮城県仙台市青葉区小松島新堤5-31
- 電話番号
- 022-233-3755
- 従業員数
- 15名
- 2024年度
新卒募集人数 - 2名
- 過去の採用実績
- 東北福祉大学、仙台白百合女子大学
- 公式
ホームページ - https://piainc.org/
チームワークが大切な仕事現場だと思うのですが、先輩社員の方から助けられた場面や、先輩社員の尊敬できる部分はありますか?
先輩方からは、常に助けられています。特に、介護は肉体労働も必要であるため、体力的に大変な場面のときによく助けていただいています。例えば、入浴介助のように1人の力では困難なとき、こちらから声を掛けなくても率先して先輩方は手助けしてくれます。他にも、「何をしたらいい?」や、「休んで良いよ」など、普段から優しく声を掛けてくれるため、先輩方にはとても感謝をしています。
杉本さんから見て、こんな学生に来てほしい、といった思いはありますか?また、大学生のときにやっておいた方が良いことはありますか?
元気で、積極的に動いてくれる学生なら誰でも歓迎します!やっておいた方がよいことは、私は学生時代にやっていなかったのですが、ボランティアなど、学生の頃から外部との関わりがあると社会人になったときに活かせるのではないかと思います。また、私自身は学生時代、1カ月間の実習を経験しました。大変だった分とても学びになり、貴重な経験だったと思います。
東北学院大学輕部知紘 さん
介護職に対し、とても大変なイメージを持っていました。しかし、ぴあいんくで従事している方々は、日々、障がいのある方との関わりにやりがいや楽しさを感じながら働いていることがわかりました。仕事の尊さを改めて感じたとともに、介護ならではの魅力が世の中により広まれば良いなと感じました。